福井プレス

大阪府東大阪ー。「町工場」と呼ばれる中小規模の工場が集まる地域として知られるこの東大阪に、10YCのイロヘンサービス(カラーリフォーム)の染色を手がける福井プレスはあります。

二足のわらじ

福井プレスは他の染色工場とは少し変わった経歴を持っています。福井プレスの福井伸社長の家業はクリーニング屋でした。福井さんは直ぐには家業を継がずに染料を販売する会社に勤め、営業として大規模な染工場をまわり染料を販売していました。当時は不況の波の真っ只中で、国内の大きな染工場が次々と倒れている状況でした。染料メーカーの営業としてそんな状況を見ていた福井さんは、あることに気がついたそうです。

それは、小さい規模で小ロットを回す体制であれば国内でも勝機があること、クリーニングの際に使う設備は染工場で使われていている設備とほぼ同じで、使い方次第では染色加工の工程の一部にも対応可能だということでした。

クリーニング屋と染工場の二足のわらじで小さくやれば、斜陽産業と言われるどちらの業界の状況のなかでも成り立つのではないか―。大きな染工場が次々と倒れていくのを目の当たりにし感じた危機感から考え出された生存戦略でした。

染め直し屋

その後、家業に入り、一部の設備を使って福井プレスとして繊維製品の染色加工を始め、初めの頃は小ロットのアパレル向けの染色加工を請け負いました。そしてその後、クリーニングのノウハウを活かしエンドユーザー向けの染色加工も手がけるようになりました。

このサービスは、色あせたり汚れてしまったりしてクローゼットに眠っていた服をもう一度染めることで着られるようにするサービスとして好評を得て、徐々に受注も増えてきたと言います。今では同社の立地の良さもあり、関西各地から持ち込みにいらっしゃるお客様も多いそう。

服のお手入れの一つとして

福井さんは「こんなことができるんや!」という驚きと喜びの混じった声を聞くのが何よりも一番嬉しいと言います。たまたまネットで同社のサービスを知り、半信半疑で染め直しに出してみたというお客様が、その仕上がりに感動し、「こんなことできるんやったら、捨ててしまった服なんかも置いておけば良かった!」と言われた、なんてエピソードも。「仕上がりに感動したお客様が、何か染められる服がないかと家中を探す様なインパクトが有る。」染め直しの潜在的なニーズはクリーニングと匹敵するくらいあると福井さんは見ています。

お客様の喜ぶ声をもっと多く聞きたいと、染め直しを服の手入れの方法として一般的に認識されるようにして、クリーニングに出すような感覚で染め直しに出す、といったところまで認知を広めていくことが今後の目標だそうです。そういった活動の一つとして、工場という場所にエンドユーザーが直接持ち込むのはハードルが高いと感じていた福井さんは同社の工場のすぐ近くにショールームをつくり、そこで染色加工を体験型にしてお客様に直接足を運んでもらうという取り組みも行われています。

工場プロフィール

株式会社 福井プレス
代表取締役 福井 伸
〒579-8013 大阪府東大阪市西石切町6-3-42
http://somenaosiya.jp/
1940年創業。現在は繊維加工業(染色・洗い・クリーニング・プレス)を営む。

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