編むけど、織物のように美しく──「バランサーキュラー」の正体とは?


ニットの可能性を押し広げた、和歌山の工場発の技術

こんにちは、10YCの下田です。
本日は、私たちが「ニートシャツ」の生地に選んだ、ちょっと不思議で、とても優れた素材「バランサーキュラー®」についてご紹介します。

普段、ニートシャツを着てくださっている方なら、きっとこんなふうに感じていただけているはずです。

「見た目はシャツみたいにきちんとしているのに、着心地はTシャツみたいにラク」
「洗濯してもシワになりにくくて、すぐ乾く」
それらの特徴の裏側には、あるひとつの工場の“執念”のような技術があります。

バランサーキュラーという編み機について知ってもらうことで、ニートシャツの魅力をより感じてもらえればと思っております。

「欲しい生地がないなら、機械から作る」

このバランサーキュラーをつくっているのが、丸和ニットさんです。
創業90年を超える和歌山の老舗ファクトリーで、古い編み機を自らカスタムしながら、今では世の中にない素材を数多く開発されています。

「欲しい生地がないなら、機械から作る」
代表の辻さんがそう語る姿に、私たちは大きな衝撃と尊敬を覚えました。

実際に、1970年代の中古編み機をベースに、自社で改造を重ねた“バランサーキュラー専用の編み機”は、ここでしか動いていない唯一無二の存在です。


上質感のある仕立てを実現する

バランサーキュラー最大の特徴は、従来のニット素材とは違う編まれ方にあります。

通常の編み機は横糸だけで構成されるのですが、バランサーキュラーは、編み機なのに経糸(たていと)があり、経糸がひとつひとつの編み目に入って編まれていく特殊な編み機なのです(経糸の本数、なんと約1920本)

そのため、編み物なんだけど、織物のような組織になり、結果、通常の編み物では表現できない上質感を表現できます。

バランサーキュラーを使うからこそ、ニートシャツは、他のポロシャツにはない、しなやかなドレープ性と自然な光沢感を持ち合わせた上質感のある仕立てになっているのです。

また経糸があることで、伸縮回復率が高まり、型崩れがしにくく、着用を繰り返しても長く着られるアイテムになりました。

快適な着心地とお手入れのしやすさの両立

今回、バランサーキュラーで編まれたニートシャツの素材は、表と裏がある二層構造の組織で編まれています。

この二層構造の特徴を生かし、肌にあたる裏側はキュプラを、肌に当たらない表側にはポリエステルを表出するように編むことで、両者の良い部分を生かし、快適な着心地とお手入れのしやすさの両立を実現しています。

【キュプラの特徴】

・天然繊維に匹敵する柔らかさと風合いを持つので、肌触りが良く、着心地が最高。
・吸放湿性に優れているので、暑くてじめじめする時期も快適に過ごせる。
・接触冷感機能を持っているので、着た瞬間、清涼感を感じながら、快適な着心地を楽しめる。
・ただ洗濯などに弱い

【ポリエステルの特徴】

・洗濯機で洗えて、しわになりくいので、お手入れ簡単でたくさん着られる。
・色褪せがしにくいので、最初の色のままで長く着てもらえます。

さいごに

10YCが大切にしているのは、「派手な機能」や「奇抜なデザイン」ではなく、
“毎日の暮らしの中で頼れる一着”を、誠実に作り続けることです。

そしてその裏には、こうして一緒にものづくりに向き合ってくれる工場や職人さんたちの存在があります。

服を選ぶとき、ふと「誰が、どうやって作っているんだろう」と思ってもらえたら。
そしてこのシャツが、日々の中でそっと寄り添う存在になれたら、作り手としてこれ以上うれしいことはありません。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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